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「スリッパしか決まっていない」旅館を、2ヶ月で開業した日

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「スリッパしか決まっていない」旅館を、2ヶ月で開業した日

「スリッパしか決まっていない」旅館を、2ヶ月で開業した日

2026/01/13

整っていなくても、決断し続けた先に見えたもの

静岡・伊東温泉の旅館開業に関わることになった。

27室の高級旅館。

7月1日開業だということは、赴任前から知っていた。

だから、ほぼ決まっていて、あとはホームページ作成などの手続きだけだと思っていた。

「決まっていたのは、スリッパだけ」

開業2ヶ月前、想像していた準備状況とはまったく違っていた

4月20日頃、現地に赴任した。

そして知った。

「決まっているのは、スリッパだけ」

何を言ってるか、意味が分からなかった。

そんなはずはない、と思った。

でも、本当だった。

決まっていたのは、客室料金、料理メニュー、スタッフの制服、寝間着、エステルーム、リネン会社。そして「スリッパ」

それ以外は、何も決まっていなかった。

食器、備品、アメニティ。
爪楊枝1本から全て、決めなければいけなかった。

開業まで、あと2ヶ月強。

普通なら、数人で1年前後はかかる。

でも、やるしかなかった。

赴任直後、ゴールデンウイークで強制的に5日間休み。

休み明けの前日、本社から電話が入った。

「支配人が、帰省先で亡くなった」

判断材料がないまま、決め続ける日々

何が正解か分からない中で、選び続けるしかなかった

1ヶ月近く、支配人不在。

新しく着任した支配人は、主にエージェント対応で、開業準備にはほとんど関わらなかった。

経営側に確認しても、明確な予算は共有されないまま、『安い』『高い』という反応だけが続いた。

一番きつかったのは、判断材料がないまま、決断し続けることだった。

「これで合っているのか」分からないまま、選び続ける日々だった。

開業2〜3日前。

ロビーが、荷物の山になった。

もう積めない、ということで、荷物をあちこちに分散し始めると、次の荷物が届く。

その繰り返し。

開業10日くらい前、赴任前にいたホテルの総支配人が、私のことを心配してくれた。

清掃と料飲のスペシャリストを、出張でよこしてくれた。

ふたりとも、知っているひとで、本当に助かった。

あの二人がいなかったら、本当に無理だったかもしれない。

開業の日、そしてその後

評価されたのは「完璧さ」ではなく、向き合い続けた姿勢だった

そして、7月1日。

開業した。

「やり切った」と思ったのは、開業した日の夜だったかもしれない。

「とりあえず、開業できた」って。

開業翌年の夏。

JTBの「満足度90点以上の宿」に登録された。

毎月来られるお客様やリピーターが増えた。

何より、口うるさく言っていた清掃スタッフが、自分たちが清掃した部屋に、本当に誇りを持ってくれるようになった。

この経験で学んだことがある。

自分が自信を持ってやったことは、評価される。

それは、お客様はもちろん、スタッフも同じ。

約50人のスタッフが、私から伝えたことを、しっかりと自分のものにしてくれた。

スタッフと同じ目線でいる大切さ。
お客様の立場に立つという大切さ。

本当の意味で理解できたのは、
あの時だったかもしれない。

あの時の経験は、今『整っていないから動けない』と言う人の気持ちが、痛いほど分かる理由になっている。

だから今、完璧を待たなくていい、と言える。

🕊 今日のひと言 🕊

「完璧じゃなくても、始められる。 走りながら、整えればいい。」

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谷藤 光優(miyu)
国家資格キャリアコンサルタント
Gallup認定ストレングスコーチ
ライフオーガナイザー

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